勝ちたいという話

子供の頃、町の囲碁クラブでよく囲碁を打っていた。
おじさんたちと打って、勝ったり負けたり。
勝てば嬉しかった。
実力は町の大会レベルだったけど、大人になってもこの趣味を続けるのかと思っていた。

負ければ悔しかった。
だから負けないように頑張っていた。

自分が勝つということは、目の前の相手が負けるということ。
勝負とはそういうもの。

相手も、負けないように頑張っている。

大人になるにつれ、目の前の相手を倒すため全力を尽くすことに、ためらいを覚えるようになった。



野球観戦が好きだった。

好きなチームの選手がヒットを打ったり、ホームランを打ったりして盛り上がったりするのが好きだった。
チャンスで凡退するとがっかりした。
勝った日は気持ち良く夜更かししてWebサイトを見たりした。
一喜一憂を楽しんでいた。

でも、好きなチームを自分の力で勝たせることは出来ない。
自分がどんなに普段の心がけをよくしても、好きなチームが勝てるわけではない。



勝つのが好き。
自分の力で勝ちたい。
でも、相手が目の前にいるのは苦手。

辿り着いたのは、試験問題だった。



確かに、問題を作るのは人間だし、同じ試験を受けるライバルも人間。
でも、直接倒す相手は紙の上の問題。
勝てば嬉しいし、勝つために必要なのは自分自身の実力や努力。


あまりにも弱い敵には勝っても大して嬉しく無いし、あまりにも強い敵にはそもそも勝てない。
ゲームを楽しむには適度なバランスが必要。

世の中には数多くの資格試験・検定試験がある。
自分が楽しめるのものも、きっと数多くある。



人にはいろいろな趣味がある。

スポーツをするのが好きな人、登山が好きな人、賭け事が好きな人、
創作、表現をするのが好きな人、応援をするのが好きな人。

他人に迷惑をかけない限り、自分の好きなこと、やりたいことをやれば良いと思う。
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